相続の開始

1.相続開始の原因 相続は人の死亡(自然死亡)によって開始するのが原則ですが、行方不明でその生死が判明しないときは、失踪宣告によって死亡したものとみなされて、相続が開始する場合があります。

2.同時死亡の推定
交通事故等で死亡した数人中、どちらが先に死亡したか不明な場合、同時に死亡したものと推定されます。この場合、お互いに相続は発生せず、相続人とはならないが、代襲相続の原因となります。
例えば、祖父と父が同乗する乗用車が交通事故に巻き込まれ、どちらが先に亡くなったかはっきり分からないような場合。

相続人が、祖母、母、自分である場合に、
(1)祖父の遺産については、祖母と、父ですが、父が同時に亡くなっているので、父の相続人である自分が代襲相続します。
(2)父の遺産については、母と自分が相続人となります。

2.相続開始後の主なスケジュール
(1)死亡届の提出      7日以内に市区町柿役場に提出
(2)相続放棄・限定承認   3ヵ月以内に家庭裁判所に申述
(3)所得税の準確定申告   4ヵ月以内に被相続人の所得税の申告と納イ寸
(4)相続税の申告      10ヵ月以内に相続税の申告と納付

相続人

相続人とは、相続により被相続人の財産上の権利義務を承継することのできる一定範囲内の親族のことです。
相続人は、被相続人の配偶者と一定範囲内の血族に限られています。

1.相続人とその順位
□ 配偶者は常に相続人となります。 婚姻届を出した正式な場合に限られます。事実婚や内縁の場合は相続人とはなりません。また、離婚した過去の配偶者も相続人とはなりません。
□ 第一順位の相続人 被相続人の直系卑属です。 まずは、子です。子が既になくなっている場合や相続欠格、廃除されている場合は孫が子に代わって代襲相続します。 第一順位の相続人が相続する場合は、第二順位、第三順位の相続人に相続権はありません。
□ 第二順位の相続人 被相続人の直系尊属です。 父母、祖父母、曾祖父母の順になります。
□ 第三順位の相続人 被相続人の兄弟姉妹です。 第一順位、第二順位の相続人がいないときに初めて相続人となります。 2.相続における胎児の地位 相続開始時に胎児であった者は、すでに生まれたものとみなし相続人となります。

相続欠格・廃除

□ 欠格 欠格とは、相続人となるべき者が故意に被相続人を殺したり、詐欺や強迫により遺言書を書かせたりした場合などに、法律上当然に相続権を失うことです。 その者は、相続権を失いますが、もし子がいれば、欠格は代襲原因ですので、代襲相続ができます。

□ 廃除 廃除とは、遺留分を有する推定相続人による被相続人への虐待、重大な侮辱、その他著しい非行を行った場合に、被相続人が家庭裁判所へ申し立てて相続権を失わせることです。被相続人は、廃除を遺言によってすることもでき、また、いつでも廃除の取消しを請求することができます。

法定相続分

□ 配偶者と子がいる場合 配偶者が1/2。子が1/2。 子が複数人いる場合は子の数で割ります。

□ 配偶者と直系尊属の場合 配偶者が2/3。直系尊属が1/3。

□ 配偶者と兄弟姉妹 配偶者が3/4。兄弟姉妹が1/4。

※ 留意事項 ・同順位の血族的相続人の法定相続分は均等です。ただし、半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の1/2となります。

・実子、養子とも、法定相続分は同一です。
・普通養子の場合、実父母と養父母の両方の相続権があります。
・特別養子の場合、養父母のみの相続権です。
・第2順位については、父母と祖父母がいる場合は、親等の近い父母(どちらか1人の場合はそのどちらか)が相続人となる。

特別受益

特別受益者とは、被相続人から、次の贈与等を受けた相続人のことである。
・遺贈
・婚姻のための贈与
・養子縁組のための贈与
・その他生計の資金としての贈与 特別受益に当たる生前贈与は、遺留分の場合と異なり、いつ行われたものでもかまいません。

□ 特別受益者がいる場合の相続分の計算
まず、遺贈分を含めて被相続人の死亡時の全財産に特別受益に該当する生前贈与の価額を加えて遺産分割する上で基礎となる相続財産(みなし相続財産)とします。 次に、みなし相続財産を法定相続分に従って相続分を算定します。
特別受益者は、この相続分から特別受益分を控除した残額が、現実に受ける相続分となります。
この場合、相続分がマイナスとなっても返還の必要はありません。 また、生前贈与を受けた価額は、相続開始時の時価で評価します。

寄与分

共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合に認められるものです。

「被相続人の事業に関する労務の提供」
・無給で農業、製造業などを手伝う場合など

「財産上の給付」
・無償での貸し付け

「被相続人の療養看護」
・病気になった被相続人に付き添えなど 特別の寄与によって、被相続人の財産の維持又は増加という結果がもたらされることが必要です。

□ 寄与分権利者の寄与分の計算
相続開始時の遺産の価額からその者の寄与分を控除したものを相続財産と見なして各人の相続分を算出した額に、その者の寄与分を加えた額をその者の具体的相続分とします。

具体的計算例 相続人:長男、二男、三男
相続財産:1500万円
長男寄与分:500万円
三男特別受益:500万円

みなし相続財産
1500万円-500万円(長男寄与分)+500万円(三男特別受益)=1500万円

相続分
長男:1500万×1/3+500万=1000万
次男:1500万×1/3=500万
三男:1500万×1/3-500万=0円

相続放棄・承認

□ 相続放棄
相続放棄とは、相続人としての地位から離脱することです。 相続放棄をするしないの選択は各相続人が個別に決定します。 相続放棄をしたい相続人は「自己のために相続の開始があったこと知ったとき」から3ヶ月以内に被相続人が住んでいた場所を管轄する家庭裁判所で相続放棄の陳述する必要があります

□ 限定承認
限定承認とは、被相続人の財産も負債も引き継ぐのですが、その債務は相続によって得た財産の範囲内でのみ支払い責任を負い、相続人固有の財産で責任を負わないものとする手続きです。 限定承認をしたい相続人は「自己のために相続の開始があったこと知ったとき」から3ヶ月以内に被相続人が住んでいた場所を管轄する家庭裁判所で限定承認申し立てる必要があります 相続にが複数いる場合は、限定承認は全員でなければ申請できません。 相続人の中に一人でも反対するものがいれは、限定承認できないことになります。

相続放棄、限定承認に関する注意事項
・被相続人の相続開始前にすることはできません。
・相続開始前にたとえ推定相続人間で相続放棄の合意があったとしても、法的拘束力はありません。
・一度承認、放棄をすると原則として撤回はできません。
・相続を放棄した者は初めから相続人でなかったものとみなすため、相続放棄をした者の子は代襲相続人とはなりません。
・相続を放棄した者であっても、死亡保険金を受け取ることができる

遺留分

亡くなった人の財産は遺言によって自由に処分できるのが原則ですが、一方で被相続人名義の財産の中にも、妻や子といった家族の協力によって得られたものも多く、また残された家族の生活の保障のために遺言の効力を一部否定して、一定の相続人に一定割合の相続財産を残すとした制度。

遺留分権利者、割合
遺留分権利者:配偶者・子及びその代襲者・直系卑属(兄弟姉妹には認められていない) 割合:1/2(直系尊属のみが相続人の場合は1/3)

遺留分の放棄
遺留分権利者は、被相続人の生前であっても家庭裁判所の許可があればできる(相続の放棄は生前にはできない点と異なる)。

遺留分減殺請求権
遺留分権者は、遺留分を保全するに必要な範囲内で遺贈及び相続開始前1年以内に行われた贈与の効力を失わせることができ、これを遺留分減殺請求権といいます。 減殺の順序は、まずは遺贈。贈与は新しいものから行うことになっています。

遺留分減殺請求権の時効 遺留分減殺請求権は、「相続開始及び減殺すべき遺贈等があったことを知った日から1年以内に行使しないとき」「相続開始のときから10年経過するとき」には消滅します。

遺産分割協議

遺産分割するに当たっては、前提として相続人の確定、相続財産の範囲及びその評価をする必要があります。

□ 相続人の確定 相続人が誰であるのかを確定します。そのため被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍を本籍地のある市町村役場で取得します。 もし、遺産分割の話し合いに相続人の一人でも参加させないで分割協議をやってしまうと無効となってしまいますので注意が必要です。

□ 遺産の範囲と評価 分割すべき遺産の範囲とその評価を確定させます。 □ 遺産分割の時期 共同相続人は被相続人が遺言で禁じた場合を除き相続開始後いつでもその協議で遺産分割ができます。 遺産分割しないまま長期間放置しておくと第二次相続が発生し複雑、困難になります。

□ 遺産分割の方法 遺産分割の方法としては、現物分割、代償分割、換価分割が有ります
・現物分割各 相続人が相続する財産の金額や割合等を定めて分割する方法である。
・換価分割 共同相続人が相続する財産の一部または全部を金銭に換価し、その代金を分割する方法である。
・代償分割 共同相続人の一部が財産を相続し、その代償としてその相続人の固有財産を他の相続人に支払うことにより分割する方法です。

□ 協議分割における留意点
・共同相続人全員の合意があれば、遺言による指定相続分や法定相続分に従う必要はない
・共同相続人の一人が協議分割を請求した場合、他の共同相続人は協議に応じなければならない
・共同相続人中、取得財産がない者がいてもかまわない
・共同相続人に行方不明者がいる場合の遺産分割協議は、不在者財産管理人を選任して行う。7年以上生死不明の場合は、失踪宣告を受ける。

□ 遺産分割協議書の作成 各相続人間で遺産の分割の話し合いがまとまったときは、遺産分割協議書の作成が必要です。 後日の紛争の予防や、不動産の所有権移転登記の際、銀行預金の引き出しなどに必要となります。

概算費用

相続人調査(戸籍取り寄せ)  25,000円~

遺産分割協議書作成 75,600円~

※ 上記の外に役所手数料が必要です。

アクセス

自動車の場合

東名阪桑名インターチェンジから8km
桑名インターチェンジをいなべ方面へ左折。
西桑名ネオポリス内。
駐車場(来客用 3台)有ります。路上駐車の心配はいりません。

バスの場合

三重交通笹尾西2丁目北バス停の交差点を西へ100メートル。
青い看板が目印です

資格者のご紹介

保有資格  土地家屋調査士・社会保険労務士・行政書士
名前 佐藤隆廣
所属 三重県行政書士会
登録番号 01210733号

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